芝浦工大教育イノベーション推進センター
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3人間のTAが配置されていない講義では、学生が質問したいと思っても質問できる相手や時間?場所が限られてしまいます。一方ですでに多くの学生が手軽な質問先として生成AIを使い始めていますが、無料版の生成AIでは誤答も多く、誤った情報を鵜呑みにしてしまう危険もあります。学生が生成AIを十分に活用し効果的な学修支援を得るには、より精度の高いAIと利用に関する適切なサポートが必要です。そこで、知的財産権に関する学修支援を目的に開発したのがAI TA「知財バディ」です。ChatGPTのMyGPTs機能を用いて作成し、文化庁が公開している「欧洲杯足彩app下载_欧洲杯下注平台-【直播*网站】6年度著作権テキスト」をはじめとする9種の知的財産権に関する資料をKnowledgeとしてアップロードしました。これによりAIはこれらの知識を参照しながら、より的確な回答を出力できるようになりました。「知財バディ」は、システム理工学部の総合科目「知的財産入門」講義で導入しました。履修者に「知財バディ」のURLを公開し、学生は質問したいときに随時、即時にアクセスし講義に関する質問への回答を得ることができます。使用開始前には、著作権やAIへのプロンプト入力など基本的な事項について講義で説明を行い、また学生には「知財バディ」への質問とその回答をLMSで報告させました。講義後のアンケートでは学生から高い評価が得られ、教員にとっても質問対応の一部を任せられる有効なツールであることが示されました。なお、他の講義でAI TAを作成する場合は、それぞれの講義の専門分野に応じたKnowledge資料の準備が必要となります。たとえば、教員が作成した講義ノートはシラバスや講義内容、想定質問への回答、スライド、配布資料、参考文献などが網羅されており有用な資料となります。また、教員自身が執筆した教科書や、「知財バディ」で使用した官公庁が公開している資料?報告書なども活用可能です。何か資料の選択などについて疑問点があれば筆者に気軽にご相談ください。生成AIの教育利用は今後、非常に速いペースで進歩し続けると予想されます。単なるTAとしての支援を超えて、AIが講義そのものを担う存在に至る日もそう遠くはないでしょう。こうした大きな変化に備えるためにも、今から生成AIを教育や研究の現場で実践的に活用し、その進歩を実感しながら対応していくことが重要です。AI TAの活用はその一歩となる取り組みです。芝浦工業大学 名誉教授、教育イノベーション推進センター 特任教授▲筆者がChatGPTで生成生成AIによる学修支援の事例として、講義の質問対応を担うティーチング?アシスタント(AI TA)への活用を簡単に紹介します。田中 秀穂生成AIによるティーチング?アシスタント

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