カリキュラム

持続可能な社会の実現に向けて
「新しい電気の時代」を創る

電気工学科では「電力?エネルギー系」、「システム制御?ロボット系」、「電気材料?デバイス系」の 3 つの分野が織りなす「新しい電気の時代」を創造します。これにより地球温暖化等の地球的規模から、安全?安心?健康等の身近な課題に至るまで広く持続可能な社会に貢献します。卒業研究では社会的?先進的な研究テーマを設定し、課題解決する力を身につけます。

1年次 学科共通の基礎科目と実験を中心に学ぶ

●主な科目
微分積分第1?2/線形代数第1?2/物理学入門/基礎化学B/基礎熱力学/技術者の倫理/人間社会と環境問題/電気回路1A?1B?2A?2B/電気磁気学1A?1B/製作実験

2年次 より専門性の高い内容で理解を深める

●主な科目
C言語入門/C言語応用/微分方程式/電気基礎実験/電気計測実験/電気回路3A?3B/電気磁気学2A?2B?3A?3B/アナログ電子回路/ディジタル回路/電子基礎物理

3年次 実験を中心に、さらなる専門知識の修得をめざす

●主な科目
電気応用実験/電気コース実験/電気機器基礎論/パワーエレクトロニクス/制御工学/現代制御/電力系統工学/電子物性論/電気材料/マイクロコンピュータ/ロボティクス/電気工学技術英語/電気工学ゼミナール

4年次 研究室に所属して卒業研究を行う


授業紹介

電気工学①
製作実験
ライントレースロボットをひとり1台製作して、製作プロセスと競技会の結果を自己点検評価することで、ロボットシステム、マイクロコンピュータ、プログラミングに関する知識や製作スキルを修得します。
電気工学②
電気基礎実験
実験の進め方、報告書の作成、関連する測定技術、データ処理などを学び、電気工学の基礎能力を修得します。これに続く「電気計測実験」では、専門基礎科目で学んだ内容についてさらに理解を深めます。
電気工学③
電気工学ゼミナール
各教員の研究テーマの中から自分が興味を持つ分野を選び、より専門性の高い課題に取り組むことで電気工学技術におけるデザイン能力と探究心が育まれ、卒業研究着手の準備となります。

研究テーマ例

ワイヤレス電力伝送バッテリーレスの電気自動車をめざせ
M&Eエネルギー変換研究室:赤津 観 教授

地球温暖化防止のために電気自動車の普及が望まれていますが、一充電走行距離が 200km程度と十分ではありません。そこで、 走りながら自動車に電力を供給するために大電力のワイヤレス電力伝送技術を研究しています。目標は10kWを1m離れて送ること。情報通信工学科、電子工学科の学生や先生方と協力して、アンテナやインバータを開発し、現在50cmの距離を効率70%で300Wを送ることができるようになりました。
ワイヤレス電力伝送バッテリーレスの電気自動車をめざせ1大電力伝送のイメージ図。高速道路などの側壁から電気自動車に給電します
ワイヤレス電力伝送バッテリーレスの電気自動車をめざせ2アンテナの概観。実験装置はすべて学生の手作りです。電力が空間を伝わります

海外との活動事例

電気工学国際インターンシップA
電気工学科ロボット系研究室 × ベトナム/ハノイ理工科大学

全学年を対象にベトナムにてライントレースロボットの製作及び競技会を実施しています。参加学生は現地の学生とともに簡単なマイコンで動作するロボットを製作し、センサやアクチュエータを駆使して競技会に臨みます。課題をクリアしたときの喜びは他に代えがたいものであり、現地学生とともに喜びを分かち合っています。
電気工学国際インターンシップA1製作するライントレースロボットで、ベトナムでも秋葉原のような電子パーツショップがあり、部品はそこで調達します
電気工学国際インターンシップA2製作したライントレースロボットを実際のコースで走らせ、意図どおりに走るか競います

卒業研究の例

ポリフェニレン膜の電解合成と青色発光材料への応用

水素原子から電子を取ると陽子(プロトン)と呼ばれる極めて小さな粒子(量子)になります。これを100万ボルトで加速して「量子ビーム」を髪の毛の100分の1以下に絞り、描画するのがプロトンビームライティング技術です。電子回路や光回路、凹凸構造など微細なパターンをつくります。携帯など小型電子機器、光通信、バイオチップの作製に必須の技術です。
プロトンビームライティングによる微細なものづくり
この研究の応用先
携帯機器の中の微細な電子回路をつくり出すリソグラフィ技術、液晶プロジェクタで鮮明な画像をつくり出すマイクロレンズアレイ作製技術、光通信のための光スイッチ作製技術、水のはじきやすさ(はっ水性)を制御する複雑な表面形状の作製技術、微生物を効率よく捕集し検出する水質検査デバイスなど、陽子ビームによる微細なものづくりには無限の可能性があります。

新世代スピントロニクスモータ実現に向けた原理確認機の設計

既存のコイルに電流を流して磁界を発生させるモータから脱却した新世代モータの基本設計ならびに機能設計を行いました。第一段階として磁化反転可能なアルニコ磁石を固定子に用いたモータを設計し、損失が90%低減できることを確認しました。
新世代スピントロニクスモータ実現に向けた原理確認機の設計
この研究の応用先
研究しているモータが実現できれば、たとえばエレベータやエスカレータ、エアコンや自動車等、ありとあらゆるところで使用されている機器の消費電力を大きく削減することができます。また、小型化が可能なモータ構造のため、たとえば歩行アシストスーツ用のモータや、ひいては体内稼働モータなどの医療応用が期待できます。