半田洋久さんが第11回POLUS 学生?建築デザインコンペティションにて入賞(5選)

2024/09/06
  • 建築学部

受賞者
半田 洋久 さん(建築学部建築学科4年)
諸江 一桜 さん(武蔵野美術大学 造形学部 建築学科 4年)

指導教員
原田 真宏 教授(建築学部)

学会?大会名
第11回 POLUS 学生?建築デザインコンペティション

賞名
入賞(5選)

発表題目
大きな軒先の家

01_受賞者画像ノートリ


提案について詳しく教えていただけますか?

今回の提案は継続して考え続けていることの1つの断面としての設計提案です。今回のコンペティションテーマである「個が際立つ新しいシェアのまち」が、その文脈と重なる部分があったので、前から共作したいと話していた他校の友人を誘い取り組みました。
着想は建築学部に所属している人は多くの人が利用する共用製図室です。いわゆる所属する学生が使用する制作のための共同の場ですが、芝浦工業大学以外の学生もこのような場所を使用している人は少なくないと思います。学生設計では当然のようにオープンスペースが登場しますが、共同の場というのは意外にもそう身近なものではありません。そのため、建築学部での制作の日々の中で、共用製図室という存在は自分の中では衝撃的な場所であり、度々創作の手掛かりに引用しています。

02_共用製図室.JPG本部棟9階 SA3年共用製図室

共用製図室からヒントを得て製作されたのですね。

その中でも今回は、製図室の机の間に存在し、生徒間の関係性を作っている「線」の存在を発見し、ここに焦点を当てました。この「線」を大きな板に引かれた目地のように見立て、その線を越境したり、遵守したり、気づけば越境されたりする中で生まれる関係性を現象学的に捉え、新たな共同と個人の関係性の手がかりを見出しました。建築化された今回の提案では、それが大きな軒先へと変化しており、関係性を作り出していた「線」は図面上では様々な種類の「見えがかり線」という従来の図面言語で表現され直しています。

03_共用製図室プロット製図室での写真と目地と所有物のプロット

これは、最初から全て想定されていたわけではありませんが、結果的には、共用製図室の利用の中で僕が実際に感じ、考えていたことが1つの設計物として具現化されたというプロセスを経ることになりました。考えていたこと、感じたことから地続きに建築の姿を捉えることができました。
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1/50全体模型

今後の展望を教えてください。

共同の場にずっと興味があります。それは、客観的に見ると、私たちがnLDK型住居に住まい、生活にリモートワークやSNSが当然のツールとして入り込んだ世代にある、つまり「個」であることを社会に要求され続けた世代だからだと考えています。建築学部に在籍している人をはじめ、多くの人にも共感されるテーマではないでしょうか。

また、共同の場はそんなにいい側面ばかりではありません。運営や維持管理はどうするのか。利用者の当事者意識に委ねられており、良い場所になるかは利用者全員の当事者意識にかかっている節があります。これを見て、共用製図室を使用する人が少しでも製図室という共同の場への意識が変化したり、良い場所にしようと行動する人が増えたら良いなと思っています。

僕はあの場所、が設計課題以上に建築を考えられる場所だと考えています。

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1/20部分模型
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1/50全体模型

  • 最後に、この模型は非常に短期間で模型を立てなければならない制約の中で、多くの人に協力してもらったことで初めて立った模型です。この場を借りて感謝を述べさせていただきます。関わってくださった皆様、ありがとうございました。

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郵送当日 ピンチ