鈴木啓太さんが軽金属学会第146回春期大会にて優秀ポスター発表賞を受賞

2024/11/25
  • 材料工学専攻

受賞者
鈴木 啓太 さん(材料工学専攻 修士2年)

指導教員

芹澤 愛 教授(工学部)

学会?大会名
軽金属学会第146回春期大会

賞名
優秀ポスター発表賞

発表題目
水蒸気プロセスによるAlN/AlO(OH)複合皮膜の作製および熱伝導性の評価

suzuki-serizawa

研究目的

多種多様な用途へ電力の制御を行う半導体技術では,軽量化や高効率化に伴ってヒートシンクをはじめとした放熱部材の搭載が欠かせないものとなっています。放熱部材に求められる特性としては,高熱伝導性や腐食環境に曝される点から高耐食性が挙げられます。そこで,軽金属材料であるアルミニウム(Al)に対し,中低温?高圧の亜臨界水および水蒸気を活用するため複雑形状に有力な,水蒸気プロセスを施すことで耐食性皮膜(AlO(OH)皮膜)を形成させました。しかし,熱伝導性の低い皮膜を形成したAl合金全体の有効熱伝導率は低下してしまいます。私の研究では,高熱伝導性セラミックスである窒化アルミニウム(AlN)粒子を導入することで,皮膜内に熱伝導パスを付与させました。AlNは高温高圧水下で容易にAlO(OH)へ転化するため,粒子表面に酸化アルミニウム(Al2O3)皮膜を形成する耐水処理を行い,水蒸気プロセス下においてAlO(OH)の形成を活用したAlN/AlO(OH)複合皮膜を作製して,耐食性皮膜の熱伝導性向上を目指しました。


研究内容

純Al合金に対して,耐水処理を行ったAlN粒子を添加した状態で水蒸気プロセスを施すことにより,AlN/AlO(OH)複合皮膜を作製しました。作製した複合皮膜は,AlO(OH)皮膜と比較して熱伝導性が向上し,また,AlO(OH)の水素結合によって複合皮膜が形成されていることが分かりました。

今後の展望

水蒸気プロセスは,既存の表面処理技術に対して水のみを用いるため,環境負荷が低い新技術として開発が進められています。本研究の展望として,表面処理とトレードオフである熱伝導性の低下が解消や,耐食性皮膜の高機能化に必要なメカニズムが解明され,水蒸気プロセスの更なる適用範囲の拡大が期待されます。