本研究は、都市部の軟弱地盤において重要な基礎工法である場所打ちコンクリート杭工法に着目し、施工中の安定液とコンクリートの置換性向上を目指しました。地盤掘削時に充填される安定液は、孔壁の保護や施工品質の維持に重要な役割を果たしますが、劣化や混入物による施工不良の発生リスクが存在します。これに対し、実際の現場条件を模擬したモルタル打設試験や、MPS-CAE解析を用いた挙動の可視化を行い、施工中のコンクリートと安定液の動態を詳細に評価しました。これにより、高品質で効率的な基礎施工の実現に寄与する具体的な改善案を提示し、地盤工学分野での施工管理技術向上を目指した成果を挙げました。
今後の展望
本研究を通じて、場所打ちコンクリート杭工法における安定液とコンクリートの置換挙動を詳細に把握し、高品質な基礎施工を支える技術的知見を得ることができました。今後は、さらに現場条件に近いスケールの試験を行い、リアルタイムでの施工管理技術を高度化させることを目指します。具体的には、安定液の劣化やスライムの発生をリアルタイムで検知し、適切な対策を施すシステムの開発を推進します。また、MPS-CAE解析の更なる精度向上を図り、より複雑な地盤条件や施工環境を想定したシミュレーションを実施することで、現場での問題解決に直結する実用的な技術提案を進めていきます。これにより、より安全で環境負荷の少ない施工技術の発展を目指します。