師岡 弘一 さんが第27回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合?実装技術」シンポジウム (Mate2021) よりMate2021優秀発表賞を受賞

2021/05/24
  • 材料工学専攻
【受賞者】
師岡 弘一 さん(材料工学専攻2年)

【指導教員】
苅谷 義治 教授(材料工学科)

【学会?大会名】
第27回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合?実装技術」シンポジウム (Mate2021)

【賞名】
Mate2021優秀発表賞

【採択題目】
使用中の組織粗大化による強度低下を組み込んだ熱および振動複合負荷におけるBGAはんだ接合部の疲労寿命予測

honbun写真_師岡弘一
【研究目的】
近年、自動車分野では高効率化や小型?軽量化を目的とし機電一体化が進み、半導体パッケージが機構部に搭載されます。
この場合、半導体パッケージは温度変化に加え振動負荷を受けるため、はんだ接合部の疲労寿命予測には熱および振動の複合負荷を考慮する必要があります。
また、製品寿命が長い自動車では長期使用中に、熱拡散とひずみに起因した組織粗大化によるはんだ合金の強度低下が懸念されます。
材料強度の低下は、疲労損傷の加速を招くため、長期使用中の熱および振動複合負荷を受けるはんだ接合部の疲労寿命予測には、組織粗大化による強度低下効果を組み込む必要があります。
そこで本研究では、熱および振動複合負荷疲労寿命予測におよぼす組織粗大化による強度低下の影響について有限要素法 (FEM) 解析により検討しました。

【研究内容】
組織粗大化効果を組み込んだ熱および振動複合負荷の疲労寿命を算出した結果、組織粗大化効果を組み込まない場合に比較して約37%疲労寿命が低下しました。
組織粗大化効果を組み込まない場合、振動負荷損傷が小さいため複合負荷の疲労寿命は、熱負荷単独の疲労寿命で決まります。
他方、組織粗大化効果を組み込んだ場合、損傷和に占める振動負荷の割合が、サイクルの進行による材料強度低下により、1%から23%へ増加します。
そのため、組織粗大化により複合負荷の疲労寿命は、熱負荷単独より低下しました。
これより、はんだ合金の組織粗大化が起きない場合、疲労寿命は熱負荷のみで決まりますが、組織粗大化が起こる場合、振動負荷の影響が現れ、疲労寿命が熱負荷単独より低下するため、複合負荷環境における寿命予測に際しては、振動負荷に関する注意が必要です。

【今後の展望】
電気自動車に代表される環境対応や運転支援システムなどの導入により、自動車における電子部品の搭載量は増加傾向にあり、電子部品の信頼性が自動車そのものの安全に関わる重要な課題となっています。
得られた研究成果を基に、安全?安心が重視される車載電子部品の信頼性確保に役立てると共に、電子実装の信頼性予測技術開発の発展に貢献したいです。

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