中川 雅史教授が日本測量協会で論文奨励賞を受賞

2022/09/29
  • 土木工学科
【受賞者】
中川 雅史教授(土木工学科)
共同研究者:木邨 直人さん(社会基盤学専攻1年生)、尾関 友啓さん(東京海洋大学?博士課程)
久保信明教授(東京海洋大学)、清水 悦郎教授(東京海洋大学)
【大会名】
応用測量論文集,第33巻,日本測量協会
【発表題目】
都市河川でのGNSS/SLAMによる屋内外シームレス測位

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【研究目的?内容】
次世代の都市交通インフラや,河川周辺構造物の維持管理の高度化にあたって、都市河川内における自律航行型船舶の活用が求められています。これを実現するためには、都市河川内における水上移動型の3D計測技術が必須であり、GNSS測位とSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)処理が自律航行型船舶のコア技術として着目されています。SLAMは、未知環境において自己位置の特定と環境地図作成を同時に行う処理です。研究室では、都市河川での水上移動レーザー計測におけるGNSS測位とSLAM処理に関する課題整理を行っています。この課題整理の中で,GNSS測位の欠測区間となる橋梁?首都高の下部空間や、単調形状をもつ護岸付近などで、GNSS測位やSLAM処理が不安定となることを確認しています。そこで本研究では、都市河川での測位手法を研究対象とし、GNSS測位とLiDARを用いたSLAMによる自己位置推定の組み合わせ(GNSS/SLAM)による屋内外シームレス測位手法を検討しました。
本研究でのGNSS測位には、Centimeter level augmentation service (CLAS)を利用した高精度単独測位(Precise point positioning : PPP)方式のReal-time kinematic(RTK)測位(PPP-RTK)を適用しました。CLASを利用したPPP-RTK測位とは、電子基準点のデータから計算した測位補強情報(衛星時計や軌道情報など)を準天頂衛星みちびきからL6信号で受信し、移動局での単独測位を補強することで数cm程度の測位精度を確保できる国内独自の高精度測位技術です。
上空視界が断続的に遮られる神田川を主な計測対象とし、船舶からの水上移動計測実験をとおし、GNSS測位やSLAM処理のみで生じる課題を解消できることを確認しました。また、CLAS利用のPPP-RTK測位が河川空間における移動計測で利用可能であることを確認しました。

【今後の展望】
今後は、提案手法を構造物点検向けUAVや走行?歩行型自律移動ロボットへの適用を検討しています。
国内の社会インフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、高齢化?老朽化している土木構造物の割合が急増していることが社会的課題です。また、災害が多いことも国内の特徴であり、緊急災害観測技術の重要性は増しています。本研究に加えて、衛星観測や航空?UAV測量。地上レーザースキャニング、ウェアラブルデバイス利用などの連携による、多様な測量技術を組み合わせた手法を提案することで、上記の社会的課題を解決することに貢献します。
 

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