デザイン工学科「キャリア?デザイン」(2023年度)授業レポート -社会人ゲストと「教職学協働」によるキャリア教育で、学生の就活への不安解消へ-
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デザイン工学部デザイン工学科の3年生向け共通教養科目「キャリア?デザイン」の最終課題発表が、5月29日に行われました。昨年度と同様、本学卒業生や企業人事担当による社会人ゲスト、キャリアサポート課の職員などが参加。対面形式とオンラインのハイブリッド型による模擬面接プログラムが実施されました。
【昨年度からの変更点】
今年度の授業は昨年度の実施を踏まえ、以下の点が変更になりました。
- 模擬面接を行う企業を、キャリアサポート課の職員が選定
授業の運営上、参加学生それぞれが希望する企業を取り扱うことが難しい中で、就職担当の職員が「デザイン工学科の学生に人気のある企業」を予め抽出。これにより多くの学生が熱意を持てるようになりました。
- 社会人ゲストや職員から学生へのフィードバックを即座に実施
昨年度はゲスト参加者の拘束時間や負担等を鑑みて、別途まとめて教員から学生へフィードバックを共有していましたが、今年度は模擬面接後即座に実施。その分参加者の対応時間は増えることになりましたが、学生へはタイムラグが無く直接的な助言が可能となりました。
本番を想定し、緊張感を持った模擬面接を実施
学生達が「採用担当者役」と「就活生役」に
例年通り、学生達が「企業の採用担当者役」(4社分)と「就活生役」にそれぞれなりきり、ロールプレイング形式による面接が行われました。この取り組みは、学生が両方の立場での面接を経験することで、就活を大学受験のような一過性のイベントではなく、「自分のこと」として向き合うこと、そして「就業する」「キャリアを考える」ということの本質を掴むことを狙いとして、2020年度から実施されています。今年度も対面実施の利点を活かし、よりリアリティのある別室での個人面接の形を取りました。教室内の学生らは、モニターからその様子を真剣な面持ちで眺めていました。
卒業生の社会人ゲスト、キャリアサポート課の職員らも授業に参加
社会人となった本学の卒業生やキャリアサポート課の職員も面接の様子を視聴し、リアリティのある質問の投げかけや、学生達へ厳しく細かいフィードバックを行いました。そして一部の学生に対しては、面接での立ち振る舞いや発言内容について高い評価がされました。
またその一方で、事前準備不足や話し方のクセへの指摘、結論ファーストの必要性、話に具体性がないことなど、愛のある厳しい指摘も飛び交い、学生たちも熱心に聞いていました。
全7週間の講義を受講した学生たちは、教員との密なコミュニケーションを取りながら、就活に関する様々な不安や心配事を減少させることができ、今後の学生生活の送り方やキャリア形成のための様々なヒントが得ることができました。授業後のアンケートからも、彼らの満足度が垣間見れる結果となりました。
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参加学生のアンケート結果
昨年度と同様、実施したアンケートの全ての項目において、7週間後に「赤=常に当てはまる」が減少していました。このことから、この講義の目的の一つでもある「学生が 就活に抱いている漠然とした不安が払拭された」と思われます。しかしながら、「アピールに関する不安」のカテゴリーにおいては赤の割合は大幅に減ったものの、青の割合も一定程度存在しました。これも昨年度と同じく、模擬面接を経験することによって「漠然とした不安」は消えた代わりに、「より具体的な不安」に不安の種類が変化したのではないかと推測されます。
言いたいことが伝えられるか、アピールできるか、などについての不安が減少していることからも、企業が望んでいることは一定程度理解が出来た(実際に自分がうまく対応できるかは別として)ということを表していると思われます。本年度「コミュニケーションがうまく取れるか」についての数値が低いのは、模擬面接後に実施したゲストから一人ひとりが丁寧なフィードバックを貰う時間を設けることができたことに関連していると思われます。
社会人と直接コミュニケーションをする中で、自身のコミュニケーション能力を見つめ直すきっかけができたのかもしれません。
最後の「サポートに関する不安」については、例年と比べても不安が大幅に減少しました。
今年度は昨年度に比べて履修生が少なかったことで、一人ひとりへの目配りが十分にできたこと、そして少人数故に履修生同士の交流も時間をかけて行うことができたことが大きかったと思われます。自分たちの仕事を見つけるという活動に関して、多くの大人が応援してくれていることを体感できた参加学生たち、自信を持ってこれからの活動を進めてくれるでしょう。
※一部抜粋。左側が第1週の結果?右側が第7週後の結果。
※昨年度と今年度では、サンプルサイズ(20名?7名)が大きく異なるため、比較は参考。
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参加学生のコメント(一部抜粋)
■Aさん:
私がこの授業を通して学んだ事は就活とは就職のためだけの儀式ではなく自分の将来について見つめ直す機会であるということです。もともと就活のイメージは全員が自分をすごく見せるために嘘をつきそれっぽい事を言ってるというもので、正直くだらないなと完全にシャットアウトしていました。しかしこの授業を通して就活について学んでいくと、企業分析やESを通して「あなたはどうなりたいの?」と聞かれているように感じて、改めてそのことについて考え自分は何となく幸せならいいかなくらいに将来を考えていたのですが、具体的にこの事業に携わってこんな製品を作って休日はこんなことをしたいという明確なビジョンまで見えました。また面接対策も自分の言いたいこと、根本の価値観はどんなものかと考えてみるいい機会になりその価値観を自分なりの言葉で、なおかつ根拠を持って人に伝える練習になりました。
ここまでわかるようになり就活は意味のない行為ではなく、むしろ全員が取り組むべきでしっかり現段階で将来を考える重要なプロセスになると思いました。この七週で学んだことを活かし、自分らしさを表現する言葉を見つけ就活を通し人生を豊かにしていくつもりです。
■Bさん:
企業と就活生の認識のギャップに気が付きました。就活生は、いかに上手に暗記したことを言えるか、減点されないようにどうすればいいのかなど、こうすれば通って、こうすればだめというような、チェックリストのようなもの意識している気がしました。そのため、緊張から本来の力を出せない就活生が多い印象がありました。ですが、企業側の経験を通して、企業側が知りたいのは、その人の企業の理解力や、熱意、人格なので、緊張して、言いたいことが言えないのは、とてももったいなく感じました。緊張してないで、あなたのことを教えてほしいと思ってしまいました。このことから、できるだけありのままの自分をアピールすることが大切だと思いました。定期試験的な要素は、企業研究などに、すこし含まれますが、ほとんどは、婚活と同じだと感じました。企業との相性を見るのが、面接だと思うので、相手に関する理解度や、熱意を見せるのと同時に、自分の人格をアピールする必要があると思いました。これに気が付けたことで、覚えてきたことを伝えるのではなく、自分を伝えるという意識に変わったので、今までよりも緊張せずに、企業側が知りたいことをアピールできる気がします
担当教員:加藤先生のコメント
就職は大学受験や資格試験とは異なり、「相手」があって成立しています。故に相手の立場を深く理解することが就職活動における第一歩であり、相手を理解することが結果として彼らの不安を減少させていることを、この講義を通じて理解することができた学生さんは、「なぜ採用するのか」「どのような人物が採用されるのか」「面接では何を評価されるのか」等の疑問についても、自分なりの答えが出せるようになっている気がします。彼らが専門的に学んでいるデザインの領域で確立した「共感」の概念を、就職活動にもどんどん応用していって欲しいと願っています。
YouTube動画:【2分程度で研究室紹介!】良い組織を作るには?(デザイン工学科 人?組織のデザイン研究室 加藤恭子教授)
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デザイン工学科 共通教養科目「キャリア?デザイン」とは
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■デザイン工学科3年生向けの集中講義(210分×7週間)。
■採用者?就活生の役に分かれて行う模擬面接は、学科の学生に人がある就職先数社を想定して実施。昨年度から対面の利点を活かし、面接は別室で個人面接の形とし、面接室への入室から退出までを体験させた(その他の学生は教室からスクリーンで様子を見守る)。
■企業研究を踏まえて面接担当者が作成したオリジナルエントリーシートは、「miro」というオンラインホワイトボード上で事前共有。
■担当教員のみならず、本学の欧洲杯足彩app下载_欧洲杯下注平台-【直播*网站】の卒業生や、キャリアサポート課の職員はZoomで参加し、就活生への質問や、面接の内容を講評する。