留学レポート 環境工学を学びGFLアメフトリーグで活躍する
- グローバル
野口慧斗さん(機械機能工学科4年)がドイツ?ケンプテン大学へ1年間留学しています。留学先の大学での学びや、ドイツのアメリカンフットボールリーグGFLのチームでプレーすることで得た気づきについて話を伺いました。
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留学を決めたきっかけは何ですか?
元々、欧州はエネルギー分野において日本より進んでいると感じていて、一度欧州に渡り勉強をしたかったんです。ケンプテン大学にはEnergy and Environmental Engineeringコースがあったため、興味関心にあった学びができると思い選びました。また非常勤講師でいらしていた永井猛先生に様々な欧州のエネルギー事業について教えていただき、巨大な洋上風力発電のウィンドファームを一目見てみたいと思ったのも理由の一つです。もちろん、ドイツ国民のエネルギー利用に対する意識を実際に体感したいという思いもありました。
留学ではどんなことに注力されているんですか?
この半年間で力を入れたことが2つあります。
1つ目は大学でのプロジェクト活動です。Factory Simulation Projectで、工場生産の最適化をソフトを用いてシミュレーションするというものでした。無数の選択肢がある中で様々な国籍の友人と議論をして、自分の中での最適解を教授に発表しました。この経験から、国際的なコミュニケーションによる問題解決能力や、期待していた結果が出なくても諦めずに試行錯誤し続ける持久力が身についたと感じます。
2つ目はGFLの”Allgäu Comets”でアメフトをプレーしていることです。本来はチームに参加するためのトライアウトがあったのですが、当時は日本にいたため参加できませんでした。そこでチームに直接連絡をして、自分の芝浦アメフト部でのプレー集を送りました。その後、ヘッドコーチから許可をもらいチームに加入することができました。チームではイギリス代表のThomasとユース出身のMaxと共にRBトリオを組んでいます。チームは現在2試合を残して8勝2敗でプレーオフ進出権を獲得しました。9月から10月にかけて行われるプレーオフでドイツチャンピオンを獲りに行きます。
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photo by Paolo Acquadro
なぜ留学中にアメフトチームに入ろうと思ったんですか?
ドイツは世界でも有数のアメフトが盛んな国で、2022年、2023年と2年連続でアメリカのプロアメリカンフットボールリーグであるNFLの試合が開催されています。またチームは、アメリカからのインポート選手が何名か在籍し、欧州国代表も輩出していたりしているので、自分のスキルアップのためにも、試合に出られなくてもよいからチームに加入したいという気持ちでした。
ドイツのアメフトチームでのプレーを通じてどんな成長があったと思いますか?
ある意味「チームワーク」や「協調性」の概念が変わったと感じています。日本ではチームワークが試合を勝たせるというイメージがあり、そのチームワークを損なわないために衝突を避ける傾向にあります。しかしドイツでは「個人」を第一に考えていると感じます。それは決してチームワークをおざなりにしているという意味ではなく、自分の思いを忖度せずに相手に伝え、その過程でチームワークができあがってくるという意味です。勝利のために思いを伝え、言われた方もただ譲歩するだけでなくしっかり自分の思いを伝える。その過程で衝突が起こることもありますが、確実にチームはできあがっていきます。今シーズン、選手同士や選手とコーチとの衝突を幾度も見てきましたが、現在チームの状態は最高です。勝利という目的のために最短かつ合理的な方法を取るドイツ、回り道をしてでも協調性を重視し着実に目的を達成する日本。両者に優劣はありません。しかし両者を実際に経験したことによって、要所で的確な方法を取ることができるようになると思います。
他にも国際的なコミュニケーション能力が身についたと感じています。4名の助人アメリカ人がいるため、チーム内の使用言語は英語が主となっています。頭脳スポーツであることから「フィールド上のチェス」とも呼ばれるアメフトを、日本語が全く通用しない環境でプレーすることは簡単ではありませんでした。しかし身体をぶつけ合っていくうちに、チームメイトとも打ち解けることができました。英語やドイツ語など、言語だけがコミュニケーションの方法ではないと気づきました。
今後の抱負は?
もうしばらくはドイツで環境工学に対しての知見を深めたいです。未だ運用されていない技術や既存のエネルギー問題の解決法について詳しく学ぶと同時に、欧州各所にある様々な風力発電所をまわってみたいです。アメフトの面では、まずは今後のレギュラーシーズンを無敗で終え、プレーオフを勝ち進みGerman Bowlを制したいです。また、日本へ帰国後は芝浦アメフト部Fighting Engineersの一部昇格へ向け尽力したいです。
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photo by Paolo Acquadro