課外活動レポート 2級審判員資格の取得でレフェリーとしてサッカーに携わる

2023/12/15
  • お知らせ

土居孝高さん(機械工学科4年)が日本サッカー協会(JFA2級審判員の資格を取得しました。また、東京都大学サッカー連盟より学生審判員功労賞を受賞しました。2級審判員は実務経験を必要とし、都道府県サッカー協会からの推薦を受ける必要があるため、学生で取得するには難しい資格となります。取得までの経緯と、今後の活躍についてインタビューしました。

 
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「日本サッカー協会(JFA)2級審判員の資格取得を始めたきっかけや理由は」

サッカーの審判資格は積み上げ式なので、2級取得のためには4級から3級、2級と順に取得する必要があります。
私の場合、高校(香川県立高松高等学校)で入部したサッカー部に4級審判を取得するルールがあり、初めは半強制的に取得しました。
部活の先輩が引退し、初めのうちは選手として試合出場ができていましたが、次第にそれが難しくなってきていました。同時に、8歳離れた弟が入部した小学校のサッカーチームでは審判員がおらず、4級審判の資格を持つ私に声が掛かりました。弟がお世話になっているチームの手助けができるならと試合で笛を吹いたのが、本格的に審判活動を始めるきっかけとなりました。
当時所属していた香川県のサッカー協会では、ユース審判員(18歳未満の審判員)は3級昇級審査が無料で受けられたので、持っていて損はないだろうと受験し、高校3年の秋に3級を取得しました。
選手としては、高校で区切りをつけようと決めていましたが、サッカーには関わっていたい思いはありました。その中で、自分で見つけた答えがレフェリーとして関わることでした。大学に入学したら選手として立てなかった大舞台に立てるようにレフェリーとして上を目指してみようと思い、2級昇級を目指すことにしました。

「2級昇級には実務経験が必要ですよね」
2級の昇級審査は県内選考ののち本試験があり、それぞれに筆記や体力、実技試験などがあります。この昇級審査は誰でも受験できるものではなく、所属する都道府県サッカー協会から推薦してもらう必要があります。推薦をもらうためには、協会の派遣審判員として割当を受け、試合での評価と派遣実績を積んでいく必要があります。3級審判員として、約2年間の活動経験を経て、今年推薦をいただき昇級審査を受けることができました。
大学1年次はコロナ禍で上京できなかったため、引き続き弟のチームで審判として活動を続けながら、上京後の活動場所を探していました。幸い2年次から大学のサッカー部に所属することで活動の場を得ました。それと同時に、埼玉県サッカー協会より割当をいただき派遣審判員としての活動をスタートさせました。
当初は自分自身の判定に自信がなく、選手とも上手くコミュニケーションが取れませんでした。そのためゲームをコントロールしきれず、試合自体が荒れ気味になってしまうことも多々ありました。そこで、埼玉県のレフェリートレーニングセンター(トレセン)に参加しました。高い志を持つ同世代のレフェリーと共にJリーグ担当の1級レフェリーの方の講習を受けたり、事象に対する判断や競技規則についてディスカッションしたりすることで、レフェリング技術の向上を目指しました。
今回の昇級の筆記試験にあたり、改めてサッカー競技規則を振り返りました。サッカーが求めているものは何か、競技の精神とはなど抽象的なものから規則11つの解釈など具体的な部分まで理解を深めました。また、反則として定められている項目を暗記し直し、競技規則の内容に対する自信を身につけました。競技規則の深い理解は、判定の根拠となるため自分の判定への自信へと繋がりました。

「学生としての学業と審判としての活動は時間のやりくりが難しそうですね」
平日は豊洲キャンパスで授業を受けたり、研究活動をしたりしています。火?木曜日は、その後大宮キャンパスに移動し、サッカー部のトレーニングに参加しています。土?日曜日は派遣審判として割当を受けたり、研修会に参加したりしています。また、割当などの予定がない時は、サッカー部の帯同審判として東京都大学リーグで副審を担当したり、トレーニングマッチで笛を吹いたりしています。
今回最大の危機は、昇級の本試験の日程に卒業研究の中間発表とトレセンの宿泊研修と3つの予定が被ってしまったことです。これら全てに不都合なく参加できるよう卒業研究の指導教員である機械工学科内村先生やトレセンの講師の先生方には様々な配慮をいただきました。それぞれの活動について、各先生方の日頃からのご理解があって学業とレフェリー活動との両立ができていると思っており、本当に感謝しております。

「審判経験から特に学んだことは何ですか」
私は、主に社会人リーグや大学リーグの試合を担当しています。
年上の選手や試合当日初めて顔を合わす審判員とコミュニケーションを取り、試合を共に創っていくことは難しいことです。特に一緒に試合を担当する審判は、同世代の大学生や高校生だけでなく、1回りや2回り年齢が上の方、時には両親と同じ世代の人と組む場合もあります。そのような場合でも、年下の私が主審としてイニシアチブを取り試合の打ち合わせや進行をしなければなりません。打ち合わせでは、注意事項やシグナルの出し方などをすり合わせ、齟齬がないようにし、審判団で共通認識をもって試合に臨めるようにします。打ち合わせ事項を事前に準備し、自信を持つことで他のレフェリーからの信頼を得ることができると考えるようになりました。また、ピッチに立てば年齢など関係なく、皆同じ立場であることを学びました。
試合の中で、一つの事象に対する私の判定と選手の認識とが異なることは多々あります。その中で判定に納得してもらうためにどう行動すれば良いのか、派遣審判員として3年間活動する中で身につけることができました。例えば、判定に納得していない選手には簡単に判定を説明したり、少し時間をおいてから声をかけたりと、タイミングやアプローチを工夫してコミュニケーションを図ることができるようになりました。
判定に説得力を持たせるためには、試合中だけでなく試合前後の立ち振る舞いや、選手とのコミュニケーションにおける表情、判定を示すシグナルの見栄えの良さを意識するようになりました。加えて、ファウルを事前に防ぐような声掛けや危険なファウルへの毅然とした対応など、競技の公正?公平性だけではなく、競技者の安全を考えたレフェリングを心がけるようになりました。選手と共に美しい試合を創ることをできるように一つひとつのプレーに向き合うようになりました。

「今後はどのような活動が予定されていますか」
これからの予定としては年末に開催される大会への派遣が決まっています。また、ありがたいことに東京都大学サッカー連盟から今シーズンの学生審判員功労賞をいただけることになりました。
来年からは、芝浦工業大学大学院に進学し、研究を続けながらサッカー部でのトレーニングを継続していくつもりです。また、割当に関しては埼玉県内での試合に加え、関東サッカー協会の主催試合も担当させていただくことになると思います。
2級審判資格の取得は1つのゴールですが、ここからがまた新しいスタートだと思っています。プロリーグで笛を吹くことを夢に、選手として到達できなかったカテゴリーの試合を担当できることに喜びを感じながら、目の前の1試合1試合に全力で臨みます。そして、よい試合を選手と共に創り上げることを目標に今後も日々研鑽を積んで行きたいと思います。

最後になりましたが、石﨑先生を始め、トレーニングを共にしているサッカー部のチームメイト?トレセンの仲間、課外活動に理解いただき快く送り出してくださる卒研指導教員の内村先生?研究室の皆さん、活動を何不自由なくサポートしてくれる家族、日頃から支えてくださる方、関わってくださった全ての皆様に感謝を伝えたいと思います。

 
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