【授業レポート】保護猫カフェの不便をIoT技術で解決するサービスのデザイン --デザイン工学科「プロジェクト演習」
- 連携?貢献
- 教育
デザイン工学科で開講されている「プロジェクト演習」は、学部3年生の必修科目です。学科に所属する各教員がクオーターずつ開講する、デザイン工学科の特徴的な授業の一つです。学生たちは、各教員の専門分野で課題発見?問題解決?提案のプロセスを実践的に経験し、年間で4人の教員から指導を受けます。今回紹介する、デザイン工学科益子宗先生の演習授業では、学外の企業やステークホルダーから課題を発掘し、アイディア提案、サービスや製品のプロトタイプ制作まで行い、一連のデザインプロセスを実践しています。
授業課題
これまでネットワークに接続されていなかった様々なモノ(センサーや家電製品など)をインターネットに接続する技術はIoT「モノのインターネット」と呼ばれています。演習では、保護猫カフェにおけるさまざまな不便を見つけ、IoTの技術を用いて解決するためのサービス(システム、プロダクト、空間)をデザインし、MESHを使ってプロトタイプを作成し提案してください。
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MESH—直感的なプログラミングアプリとシンプルな無線センサーブロックを提供するIoTツール
2023年11月23日、MESH開発者の萩原丈博氏がソニーマーケティング株式会社より来校されました。MESHは、無線でつながったシンプルな7種類のセンサーブロックです。プログラミング言語を必要とせずに、直感的な操作でプログラムできる専用アプリケーションが用意されており、自由な発想を動作につなげられます。学生たちは萩原氏の指導を受け、MESHと100円均一グッズを組み合わせた「新しい遊び」を作る課題に取り組み、MESHの可能性を学びました。ワークショップの終わりには「仲良くなる遊び」、「ハエたたきで世界を救う遊び」などが学生たちから提案され、全員で楽しみました。
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ネコリパブリック--ビジネスとして自走しながら、保護猫活動を推進する保護猫カフェ
2023年11月30日に保護猫カフェ(ネコリパブリック東京お茶の水店)で株式会社ネコリパブリック代表取締役首相 河瀬麻花氏と座談会を実施しました。株式会社として保護猫活動を行うネコリパブリックの考え方や、「日本の猫の殺処分数をゼロにする」ための取り組みなど伺いました。実際に店舗への入店から、猫とのふれあい、退室までを体験し、保護猫カフェでの課題を見つけ出し、MESHの活用を考えました。
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最終発表—保護猫カフェで活用するツールのプロトタイプを制作
2024年1月18日に豊洲キャンパスの教室に萩原氏、河瀬氏も来校し、学生によるプレゼンテーションが行われました。
保護猫カフェで感じたそれぞれの課題として、「保護猫カフェへの支援方法が限られている」「カフェ入口がわかりづらく入りづらい」「猫の数が多く体調管理にボランティアの負荷がかかる」などがあげられました。支援者?来場者?ボランティアなど多くの視点から課題を洗い出し、学生一人ひとりが具体的なサービス提案を行いました。
遠隔地で猫の動きが感じられるプロダクト、人感センサーでカフェ入口にネコの鳴き声や店内の写真を掲示するPR対策、猫の動作をデータ収集し一番活発な猫を当てる投票システムなど、様々な提案がされました。
最後に萩原氏より、「プロトタイプの制作をしたことで、もっと小さくしなければ、もっと作りこまなければという次の課題が見つかったと思う。それが製品開発の次の一歩になるのでどんどん続けてほしい」とエンジニアとしてのコメントが寄せられました。また河瀬氏は、「保護猫活動というアナログの世界にテクノロジーが加わることで救われる命がある」と今後の発展可能性を示唆されました。
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