鶴谷勇人さんがインラインスケート日本選手権にて2種目で日本新記録を樹立

2024/05/16
  • 在学生
   

鶴谷勇人さん(機械工学科3年)が4月13日(土)、14日(日)に開催された第69回全日本トラックレーススピード選手権大会 兼 WORLD ROLLER GAMES 2024(世界選手権/イタリア)トラック競技選考会に出場し、200m、5000mポイントレースの2種目で日本新記録を樹立して優勝しました。

本大会は、インラインスケートの国内最重要大会に位置付けられ、1種目につき2位以内の成績で世界選手権の選考候補に選出されます。

●今大会の戦績

?200m 1位 日本新記録19”345
?500m+D 2位
?1000m 3位
?5000mポイントレース 1位 日本新記録7’56”454
?10000m エリミネーションレース 2位

鶴谷さん_賞状

日本記録で優勝した率直な感想と自身が考える要因を教えてください

もともと短距離は得意な方ではなかったため、200mでの日本新記録については、「まさか自分が」という驚きがありました。昨年の世界選手権ではダッシュ力不足を痛感し、この半年間で強化に努めたことが新記録に繋がったと思います。コース取りの研究や、スタート直後のコーナーリングでの加速を繰り返し練習したことも良かったです。
5000mは、日本記録ペースでの練習はできていたのですが、レースでは互いの牽制もあり、なかなか新記録とはなりません。今回は序盤からハイペースなレースを自分でリードできていたので、滑っている間も優勝できれば日本新記録だなと思って頑張りました。
本当に苦しいレースだったので、ゴールした直後は疲れ切ってしまい新記録の実感も持てませんでしたが、公式記録に自分の名前が載った瞬間、大きな喜びを感じました。
この種目はポイントレースといって、2周に1回、1位通過だと2ポイント、2位通過だと1ポイントが加算され、その合計点で順位が決まります。そのため、スピードのアップダウンを繰り返すインターバル走を練習に取り入れました。練習中もどうすればポイントを獲得できるか、どう滑れば抜かれにくいかを考えながら、常にレースを想定して滑っていました。
また、さらに長い距離の練習の際にも、ラスト2周は試合のようにスパートをかけるトレーニングをしていました。どんなに苦しくてもラストで負けたら意味がない。苦しい中でさらにもう一段力を振り絞ることを自分に課し、「勝つ」ための練習を繰り返しました。
前日本記録保持者は、ずっと目標にしていた尊敬するクラブのOBであり、その先輩の名前を上書きすることができて非常に嬉しいです。また、今回の優勝と日本新記録の樹立で、長年指導していただいているチームの監督や応援してくれた方々に少し恩返しができたかなと思います。

鶴谷さん4
鶴谷さん2

大会の準備で力を入れたことを教えてください

トップスピードを上げる練習はもちろんですが、昨年の大会ではコーナーの入口から抜かれしまう事が多かったため、そうさせないコースで滑る練習を繰り返しました。また、過去のレースビデオをチェックして、優勝した選手の特長と作戦、負けた選手がどうすれば勝つことができたのかを研究しました。さらに、今回出場する各選手の強みから相手の作戦を想定し、それにはまらないように対策をしました。

日本新記録樹立までの道のりで苦労したことを教えてください

  • 小学校2年生からこの競技を始め練習に励んできましたが、ここ数年はコロナの影響などもありモチベーションを保つのも大変でした。また、昨年は初めて日本代表として世界選手権に出場しましたが、世界のレベルの高さを実感して帰国しました。自分の強みは長距離の持久力ですが、スピードがまだまだ不足していることに気づかされました。一つ大きく変えたのは、昨年末に初めて自分の足型をとってカスタムブーツを作りました。あまりにもジャストサイズのため、はじめは痛みからまともに滑ることもできませんでしたが、練習時間の確保はもちろん、自宅でもシューズに足を通して過ごすなど、早く靴に慣れるように努めました。徐々に足にフィットするにつれ、力が伝わりやすくなりダッシュ力や滑りの安定性などが増しました。このシューズの変更が自分の成長を大きく加速させてくれたと思います。

  
鶴谷さん3
鶴谷さん1

今後の抱負を教えてください

今回、上位を占めた3人のうち1人は元アジアチャンピオンで長年インラインスピードスケートを牽引している選手です。また、もう1人は世界チャンピオンを数多く輩出しているコロンビアでの留学を経てこの大会に備えてきました。大会初日に2種目で日本新記録を更新したため、2日目はこの2人を含む上位の選手たちに警戒されたこともあり、2位と3位という結果で終わりました。これまでずっと誰かを追いかける立場でしたが、今回から自分がマークされる選手になったと感じました。それは自信につながる事でもあるので、警戒に打ち勝ってさらに強い選手になりたいと思います。
今大会で日本のトップにはなることができましたが、世界的に見るとまだまだ上位の選手がいる状況です。次回の世界選手権では、昨年果たすことができなかった予選突破?決勝進出を目標に頑張ります。

 

■今後の大会スケジュール

6月   第19回全日本ロードレース選手権大会
9月   世界選手権
11月 第68回東日本スピード選手権大会
12月 全国ローラーマラソン大会