しばうら人 後藤 花奈子さん(株式会社資生堂)
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- 卒業生
色々なプラスチックが複雑に組み合わさっている
化粧品パッケージのリサイクルを目指して
「ものづくりが好き」ではあるが、具体的に何を作りたいのかは分かっていなかったという後藤花奈子氏。そんな彼女が芝浦工業大学で学んだのは、ものづくりに対するアプローチの仕方そのものだった。それは大学卒業後も、大手印刷会社から資生堂というキャリアを歩むうえで大きな指針になっている。
後藤 花奈子さん
株式会社資生堂
システム理工学部
機械制御システム学科
2013年卒業
専門は、イノベーションを起こすお手伝い
もともと私はものづくりが好きで、大学を受験する際も「何かを作りたい」という気持ちが軸になっていました。ただ、その「何か」は具体的には定まっておらず、そんな中で選択したのが芝浦工業大学システム理工学部の機械制御システム学科でした。というのも、同学科ではロボット工学からシステム解析、デザイン工学まで幅広い領域をカバーしており、ここでなら自分のやりたいことが見つかるかもしれないと思ったからです。
芝浦工大に入学してからの私は勉学に励むだけでなく、バレーボール部と美術工芸部を兼部するなど興味が向いたものには片っ端から手をつけ、没頭する毎日を送っていたのですが、その中で少しずつ自分の専門と呼べる領域が見えてきました。それは、簡単にいえば“イノベーションを起こすお手伝い”をすることです。
例えば4年次に入った最適システムデザイン研究室では、さまざまな特許情報をデータベース化し、そこからイノベーションに関わる要素を抽出、分析することで開発支援を行うシステムを作る研究をしていました。私は、イノベーションとは誰か頭の良い人の、常人にはない発想によって起こされるものだと思っていたんです。もちろんそういう側面もあるにせよ、それだけではなくデータからアプローチしたり、システム的にサポートしたりできればもっと可能性が広がるんじゃないか。そういうことを想像しながらする作業はとても楽しかったです。
就職活動をしている際も、やはりものづくりに携わりたいと考えていたので、大手印刷会社を受けました。なぜ印刷会社を選んだのかといえば、同社も幅広い領域でものづくりをしていて、なおかつ会社の方針として“感性”を大事にしていたからです。要は、ものを作るうえでシステマティックであることも大事ですが、ある種そこから外れるような、不確定ともいえる要素を大事にしている。そこに、ときめいたんです。
ものづくりにはさまざまな視点や立場がある
それまでの私は主に設計と開発に携わっていたせいか、市場の視点というものが欠けていました。そこに難しさを感じているのも事実ですが、どうしたら消費者の皆さんがリサイクルを特別なものとしてではなく、当たり前のものとして受け入れてくれるのか、そういったことを考えるのは新しい体験であり、大きなやりがいになっています。
一口に「ものづくり」と言っても、そこにはさまざまな視点や立場がある。そこに気づけたのは、芝浦工業大学で学んだ経験があったからかもしれません。前身である東京高等工商学校を含めれば100年近い伝統があり、昔ながらのしっかりした基盤を持ちつつ、新しい取り組みにも積極的な大学だったと、卒業してから分かりました。逆にいえば在学中はそのような実感はあまりなかったのですが、例えばプロジェクトマネジメント実習やグローバル交流といった先端的なプログラムは今の仕事にも役立っています。
また「工業大学」という一見固そうな名前が付いていますが、中に入ってみるとユニークな教授や学生がたくさんいました。彼ら、彼女らとの交流もやはり刺激的で、かつての私のような自分のやりたいことを見つけたい人はもちろん、すでにやりたいことがある人、あるいはシンプルに好奇心旺盛な人の背中を押してくれる環境だったといえます。