2024年度グッドデザイン?ニューホープ賞に本学の学生5組が入選
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「グッドデザイン?ニューホープ賞」は、クリエイターを目指す各種専修専門学校?大学?大学院の学生や、卒業?修了間もない若手クリエイターを対象としたデザイン賞です。
応募された作品?プロジェクト?研究を審査?顕彰することにより、新たなクリエイティブ人材の発掘とキャリア蓄積を支援し、デザインを通じた新たな産業および文化の発展に寄与することを目的として2022年に開始されました。
第3回を迎える本賞では、日本全国から606件の応募が寄せられ、12名の審査委員による厳正な審査を経て、94件が受賞の栄誉に輝きました。本学からは建築学部建築学科および大学院理工学研究科建築学専攻の学生5組、計7名が受賞しました。
本学入選者 一覧 ※順不同
賞種別 | 受賞カテゴリー | 作品名 | 学生氏名 |
入選 | 場のデザイン | Merry-Go-Round | 鈴木 創(建築学部建築学科4年) |
入選 | 場のデザイン | カラスな感性で創る家 | 西村 隆司(建築学部建築学科4年) 河野 奏太(建築学部建築学科4年) |
入選 | 場のデザイン | 稲架がけの棲家 - 営みと風景が同一化する住宅での暮らし - | 東 尚生(大学院理工学研究科建築学専攻M2) 中川 蓮也(大学院理工学研究科建築学専攻M2) |
入選 | 場のデザイン | 清澄アーカイブス | 半田 洋久(建築学部建築学科4年) |
入選 | 場のデザイン | 都市を象る~3段階の設計者による立体資本都市の構築~ | 河本 一樹(大学院理工学研究科建築学専攻M2) |
入選作品詳細
作品名
Merry-Go-Round
受賞者
鈴木 創(建築学部建築学科4年)
指導教員
原田 真宏教授(建築学科)
作品の説明
場所はグレートブリテン島の南端セブンシスターズパーク。英仏百年戦争から第二次大戦、そして現在は自殺者や転落死者へと姿を変えた無数の生と死を目撃してきた土地です。使徒ペテロの否認に登場し、魔除けの象徴として神聖視される鶏をモチーフとして高さ20mの監視灯を3基設計しました。建築は風見鶏のように回転し、気象条件と人間の営みの変化に追従するように、昼は監視塔、夜は灯台として機能します。私たちが知覚することのできない不善な力に対する防御策として、【用心深い守護者】を据え置くことで場所全体を守られている意識で包み込み、一千年にわたる死の連鎖を断ち切ろうと試みました。
受賞の感想?今後の展望
建築をよすがとして人々の心中に仮構されるイメージの世界に建築のまだ見ぬ可能性を感じています。なかなか捉え所のないテーマではありますが、環境、構造、機能といったリアリテイを織り交ぜることで他者と共有可能な次元まで落とし込めた作品だと思っています。映像と文字を追いながら自分勝手に解釈して妄想を膨らませてしまう、映画や小説のような楽しみ方ができる建築のあり方を考えていけたらと思います。
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作品名
カラスな感性で創る家
受賞者
西村 隆司(建築学部建築学科4年)
河野 奏太(建築学部建築学科4年)
指導教員
西沢 大良教授(建築学科)
猪熊 純教授(建築学科)
作品の説明
本提案は、7世帯のための木造の集合住宅の提案です。まちにあふれている不要物を資源と捉え、転用?解体し身体スケールに落とし込むことで空間を創り出しました。集合住宅の中で資源は循環し、一人暮らし世帯が増え、入居?転居のスパンが短い現代だからこそ、住人の巣立ち方をデザインしました。
受賞の感想?今後の展望
この度は、このような賞を受賞できたこと大変嬉しく思います。また、今回で自分たちに足りないところを再確認でき、今後に生かし成長していきたいです。
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作品名
稲架がけの棲家 - 営みと風景が同一化する住宅での暮らし -
受賞者
東 尚生(大学院理工学研究科建築学専攻M2)
中川 蓮也(大学院理工学研究科建築学専攻M2)
指導教員
原田 真宏教授(建築学科)
作品の説明
都会を離れて地方で農業を営み暮らすことを決意した若い夫婦と三人の子どもたちのための、風景と調和した職住一体の住まいの提案です。二毛作の盛んな棚田の風景の広がる長崎県大村市で稲架掛けの形態の引用や農業の生業を踏襲し、その土地の地熱や光や眺望を取り込みながら、写し鏡のようにその土地の風景そのものとなるような建築を目指しました。
受賞の感想?今後の展望
本作品は、「木の家設計グランプリ2023」というコンペをきっかけに制作し、20選とビルダー賞のダブル受賞をいただきました。そして今回、「グッドデザイン?ニューホープ賞2024」にて、名誉ある賞を重ねていただけたことを、大変嬉しく思います。しかしながら、いずれのコンペにおいてもファイナルプレゼンテーションには惜しくも届かず、悔しさが残ります。これを機に、足りなかった部分を模索し、さらに磨きをかけ、いずれはプロとしてグッドデザイン賞の受賞を目指して、これからの社会にふさわしい新しいデザインを発掘すべく邁進してまいります。(東 尚生さん)
あらゆるものが分断される世界に於いて、その場所ならではの「風景」を手がかりに身体―建築(モノ)―場所が連続するような環世界を描けないかと模索していました。「稲架がけ」というその場所ならではの要素を建築に重ねるという一つの操作によって、季節によって光の入り方や稲や藁の色が変化するといった建築の内側にも外側にも多様な表情が現れる、そんな豊かさのある建築がつくれたのではないかと思います。今後もあらゆるモノの重なりを通して多様な現象や表情を引き出すような設計を行っていけたらと思います。(中川 蓮也さん)
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作品名
清澄アーカイブス
受賞者
半田 洋久(建築学部建築学科4年)
指導教員
原田 真宏教授(建築学科)
作品の説明
建築と街にまつわるアーカイブについての提案です。建築の保存を考えながら、1つの単位空間から街が持つスケールに展開される、風景、共同、記録について考えました。まちのアイデンティティに自覚的になるための建築の存在を模索しました。
受賞の感想?今後の展望
僭越ながら、本提案は他にも多くの賞を受賞しております。私が目指した建築の姿が、さまざまな価値観にチューニングできたのではないかと感じております。ずっと一緒に製作している仲間の提案と同じ枠組みでの受賞ということで、違うテーマで作られた提案と同時受賞した頃を感慨深く思うと同時に、多様な価値観の中で提案の評価が再発見されたことに驚いています。
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作品名
都市を象る~3段階の設計者による立体資本都市の構築~
受賞者
河本 一樹(大学院理工学研究科建築学専攻M2)
指導教員
猪熊 純教授(建築学科)
作品の説明
都市の建築設計は、再開発のビルや商業施設の「建物の設計」と、内装やインテリアなど内部の「テナントの設計」という2段階の設計です。従来の2段階の設計を3段階に分け、都市の新陳代謝と新しい経済の循環を促す建築の在り方を目指しました。1つの建築の中にオーナーが異なる建築が建っていく、ホテルを主とした複合施設の提案です。敷地?渋谷の地割を活かした構造体で、立体的な空間を売りさばく賃貸構造を作り、各区画で異なる設計条件?適した建築用途?収益性が生まれます。テナントは異なる形態を持ちながら、人々の活動が都市の外部に表出し、より都市の個性を加速させていきます。
受賞の感想?今後の展望
一設計課題ではありますが、このような賞を受賞できて大変光栄に思います。私はこれまでデザインのデザインから設計を始めることを意識していました。本作品では、デザインのルールを設定した上で、そのデザインを超えていく、自走するルールを作り、自身の建築設計を見直す機会になりました。今後も様々な設計を行うと思いますが、自身の建築観をブラッシュアップしていきたいと思います。最後に、本課題にご指導ご鞭撻いただいた猪熊純先生、模型製作を手伝ってくれた同輩、後輩に改めて感謝申し上げます。
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個人の詳細な受賞情報については、「受賞?表彰」ページをご覧ください(順次、掲載予定)。