しばうら人 園田 剛史さん(ビジョナル株式会社、株式会社ビズリーチ執行役員 CIO)
2021/08/25
- しばうら人
創業メンバーとして会社の急成長を実現
即戦力人材向けの転職プラットフォームとして、高い実績と知名度を誇る『ビズリーチ』。その創業メンバーの一人である園田剛史さんは、現在、同社の執行役員CIO(最高情報責任者)として日本有数の急成長企業を支える立場にある。開発エンジニアから、会社を支えるマネジメントの舞台へ。挑戦を続けてきたその足跡を辿っていく。
園田 剛史さん
ビジョナル株式会社
株式会社ビズリーチ
執行役員 CIO
2002 年3月 機械制御システム学科卒業
HRテック分野のトップランナーとして
テレビCMなどを通して社名に覚えがある方も多いだろう。株式会社ビズリーチは、2009年に即戦力人材向けの転職プラットフォームで創業し、その後、企業の人材活用を支援するクラウドサービスなど、HR(人事)テック領域を中心に事業を拡大。2020年2月にはグループ経営体制に移行し、ホールディングカンパニーであるビジョナル株式会社を設立。10年あまりで売上高約258億円(2020年度7月期)まで成長し、今年4月に東証マザーズでの上場を果たした、注目の新進企業のひとつである。
そんな同社の創業メンバーとして、サービス開発から携わっているのが2002年に機械制御システム学科を卒業した園田剛史さん。マンションの1室からはじまったスタートアップ企業は、いまやグループ全体で約1400人の社員を抱えるまでに成長した。「僕の社員番号って5番なんですよ」と笑う園田さんは、そんな同社の急成長を牽引してきた一人なのだ。
大学で出会ったプログラミングの魅力
静岡県三島市の出身。建築士の父親と板前だった祖父の姿を見て、「漠然と、ものづくりに携われる仕事に就きたいとは思っていた」というが、具体的な目標はなかった。せっかく工学を学ぶなら、手で触れられるものをつくりたい。機械分野に進む学生の定番ともいえる理由で、芝浦工業大学の機械制御システム学科に進学するが、1年次の授業でプログラミングと出会い、引き込まれていく。「書いたコードをすぐ動かすことができるレスポンスの良さ、複雑に見えるシステムも紐解くとシンプルなしくみで成り立っていることがおもしろかった」と園田さんは語る。
在学中は医療分野にも関心があったことから、現生命科学科 生命医工学コースの山本紳一郎教授のもとで、超音波による筋線維長の計測などの研究に着手。また所属していた美術工芸部で、動画や3D モデリングの創作活動に取り組むなど、大学での4年間は「好きなことに夢中になれることの強さ」を体感した貴重な時間だったという。
卒業後は富士フイルムソフトウェアに就職し、現像機関連のソフトウェア開発に従事。その後、インターネット広告代理店のオプトに転職し、ここでインターネットやウェブサービスの運用を学んだ経験が、ウェブエンジニアの道に繋がっていく。そして20代も終盤の頃、園田さんは『ビズリーチ』創業者の南壮一郎氏と出会う。
きっかけは個人で展開していたウェブサービスだった。当時、登場間もないグーグルマップのAPI を利用し地図上に道順を書き込んで共有できるサービスを開発したところ、雑誌に掲載されるなど注目を集めた。そこで雑誌の編集者がエンジニアを探していた南氏に園田さんのサービスを紹介し、問い合わせ窓口に南氏がメールを送ったことが、2人の出会いへと繋がった。
▲ 2021 年4 月東証マザーズ上場を記念して創業メンバー7 人で(園田さん下段中央)
※感染対策を行った上で、撮影時のみマスクを外しています。
※感染対策を行った上で、撮影時のみマスクを外しています。
開発エンジニアから企業マネジメントへ
南氏と初めて会った翌週には『ビズリーチ』の開発ブレストに出席。当初は別の会社で働きながら、サポートとして参加していたが、2年程が経過した2010年、園田さんは正式に同社の一員となる。『ビズリーチ』がオープンしてから、数カ月後のことだ。「初期はビジネスモデルを探りながら、システムを開発していく状態。人もいないし、ビジネスも軌道に乗ってない。事業がどう転んでもおかしくない中、一丸となって戦っている感覚は面白かった」と園田さん。数多くの苦労があったことは、当時を知らない人間でも想像に難くない。それでもどこか楽しそうに思い返す表情が印象的だ。『ビズリーチ』を屋台骨としながらも、毎年のように新規事業を展開するのがVisionalグループの特徴であり、その哲学は創業当時から変わらない。園田さんも最前線で『ビズリーチ』の開発運用を行いながら、数多くの新規事業に携わってきた。企業の成長とともに、自身も開発の現場からチームをまとめる立場へと移行していくが、変化に富んだ組織の中で、常に新しい挑戦がある環境が、面白みであったと語る。新たに課せられた仕事を楽しむことができるか
その後、創業からわずか10数年での同社の急成長は、冒頭に紹介した通り。園田さんは開発から品質保証などの部門立ち上げを経て、執行役員CIOとして情報システムを統括する立場であり、現在は数年後を見据えた社内システムの改善と再構築という、また新たなミッションと向き合っている。大学で培った好きなことに夢中になれる強さ、メンバーとのコミュニケーション、若手のエンジニアからも学ぶ姿勢の大切さ。話の中で活躍を支えてきたいくつものヒントを聞くことができたが、中でも印象的なのは「地味に、地道に」というフレーズだ。「会社を支えるのは、学習意欲が高くて、地味に、地道に頑張れる人。また恐れず新しい挑戦をすること。最初は苦手だと思っても根気よく挑戦してみれば、結果として何か自分の強みを得られるいい機会になることがあります。まぁ僕の場合は頼まれたら断れない性格というのもあるんですけどね」そんな照れ笑いの奥に、これまでの経験に裏打ちされた自信と、いつまでも新しい挑戦を楽しむ、園田さんの仕事観が垣間見えた気がした。
▲オンラインミーティングでの様子(園田さん中央)
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