Design Championship 2022 審査委員長 建築家?坂 茂 特別講演「作品作りと社会貢献の両立を目指して」
2022/10/24
- 学び
学生コンペ課題 「地政学の建築」
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課題発表の最後には、「今回の課題である『地政学の建築』に取り組むことで、世界で何が起きているのか知るきっかけとなればよいと考えています。建築家として、バラ色の将来ばかりが広がっているわけではないと思います。社会情勢が刻々と変化する中で、皆さんが今後のリーダーとなることを期待しています」と提供した課題への思いを伝えました。
デザインチャンピオンシップ2022課題
「地政学の建築」地政学的緊張や衝突が世界中で増大している。そのため多くの人々が居住地の移動を与儀なくされている。またそのような人々を受け入れなければならない国の状況が、日本を含めどこの国でも起こりうることは今日明白である。そのような時に、建築家はどのような手助けができるであろうか。
地政学を踏まえた建築、あるいは新たな建築家としての活動について提案してください。
特別講演
これまでの建築家としての活動を、権力や富を可視化するという従来のモニュメンタルな建築と、災害地域で被災者の生活改善を目指した仮設建築に分けて、その時の考えやエピソードと共に講演しました。坂氏が手掛ける仮設建築は、紙管を多く活用しています。きっかけは1990年ルワンダ紛争により多くの人々が難民キャンプで生活している写真を週刊誌で見たことです。緊急シェルター建設に携わるため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に直談判したそうです。この時、現地では国連が配布する屋根替わりのシートに、現地で集めた木材を柱に作ったテントを緊急シェルターとして利用していました。しかし、テントに利用する木材のために森林が伐採され、環境問題を引き起こす事態となっていました。そこで、坂氏は木材の代わりに紙管を柱にすることを提案し、問題の解決を目指すこととなりました。このことを皮切りに、トルコ?インド?台湾?イタリア?インドネシアなど、国際的な戦争、災害支援に紙管を使った活動を行ってきました。モニュメンタル建築、仮設建築どちらも現場に行く大切さを表すエピソードを含めながら作品紹介をされ、「冗談も交えてお話するので、面白いときは笑ってほしい」と学生の緊張がほぐれる1時間半となりました。
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