髙橋悠理さん、長坂新さんがGPS/GNSSシンポジウム2024にて学生優秀研究発表賞を受賞

2024/12/10
  • 工学部
  • 社会基盤学専攻

受賞者
髙橋 悠理 さん(工学部/土木工学課程4年)
長坂 新さん(理工学研究科/社会基盤学専攻2年)
中川 雅史 教授(工学部)

指導教員
中川 雅史 教授(工学部)

学会?大会名
GPS/GNSSシンポジウム2024

賞名
学生優秀研究発表賞

発表題目
デジタルツインのためのLiDARデータ比較によるデータ改ざん検出

web_Takahashi
研究背景?目的

デジタルツインは、現実世界の空間情報を経時的に取得し、時空間データとしてデジタル空間に再現すること、並びに、その時空間データを用いたシミュレーションを元に現実世界でのシステム制御や意思決定に活用する概念であり、デジタルツインが実現することで、高度な社会課題の解決を図れると期待されています。近年、都市のデジタルツインに関する取り組みが世界的に進められています。


本研究では、土木工学の側面から都市空間の建物やモビリティ等の形状及び振る舞いに焦点を当て、時空間データを取得するセンサとして、Light Detection And Ranging(LiDAR)スキャナに着目しました。


研究内容

LiDARスキャナは空間を3次元かつ動画のような時系列データを取得できるセンサであり、自動運転自動車や自律移動ロボットにも搭載されています。一方で、都市空間には様々な障害物が存在し、単体のLiDARスキャナではその死角を捉えることはできないため、都市全体の時空間データを取得するには複数のLiDARスキャナのデータを統合することが求められます。

しかしながら、LiDARスキャナの位置や時刻を高精度に取得するには、測量用の高価なGlobal Navigation Satellite SystemGNSS)受信機が必要となるほか、GNSSの測位精度が担保される(上空視界が開けていることなどの条件満たす)環境が必要となるため、LiDARスキャナのデータを統合管理することは容易ではありません。さらに、時空間データを公共?民間問わず様々な主体から収集した場合には、データ改ざんやサイバー攻撃などのセキュリティ管理に関する課題を抱えています。

そこで本研究では、複数のLiDARスキャナで取得した時空間データについて、取得されたデータ群の空間的な一致度にもとづいて、LiDARスキャナ間の時刻を同期すること、並びに、整備された時空間データに改ざんがないかを検出する手法を提案し、実験において提案手法を検証しました。


今後の展望

本研究の成果は、デジタルツイン基盤の実現のみならず、社会インフラの高度化?維持管理に活用できる可能性があります。国内の社会インフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、高齢化?老朽化している土木構造物の割合が急増していることが社会的課題です。また,災害が多いことも国内の特徴であり、緊急災害観測技術の重要性は増しています。本研究に加えて、衛星観測や航空?UAV測量、地上レーザースキャニング、ウェアラブルデバイス利用などの連携による、多様な測量技術を組み合わせた手法を提案することで、上記の社会的課題を解決することに貢献します。