野田京吾さん、金井歓太郎さん、山口哲さんがGPS/GNSSシンポジウム2024にて最優秀ポスター発表賞を受賞

2024/12/10
  • 工学部
  • 社会基盤学専攻

受賞者
野田 京吾 さん(工学部/土木工学課程4年)
金井 歓太郎さん(理工学研究科/社会基盤学専攻1年)
山口 哲さん(理工学研究科/社会基盤学専攻2年)
東京海洋大学
中川 雅史 教授(工学部)

指導教員
中川 雅史 教授(工学部)

学会?大会名
GPS/GNSSシンポジウム2024

賞名
最優秀ポスター発表賞

発表題目
都市河川における多偏波SARデータとGNSS測位環境の対応づけ

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研究背景?目的

近年、都市河川空間の観光利用や水運を活用したMaaSの導入に関する河川空間の有効活用が議論されています。この議論には、河川や周辺構造物の詳細な3Dデータが必要であるとともに、GNSS測位環境のマッピングも必要です。

GNSS
測位環境の推定には実測や3D都市モデルを用いる方法がありますが、本研究では衛星多偏波SARデータの活用に着目し、GNSS測位環境との対応づけが可能かを検討しました。SARはマイクロ波で地表の高解像度画像を取得する技術で、地表におけるマイクロ波の散乱を推定できます。多偏波SARデータのパウリ分解によって、一回反射、二回反射、体積散乱に分類できます。一回反射は、地表が広い平面で構成されていることを推定できるものであり、GNSS測位環境が良好な領域であることを対応付けられる可能性があります。また、二回反射や体積散乱は、地表が高層建物や密集建物、樹木で構成されていることを推定できるものであり、GNSS測位環境が劣悪な領域であることを対応付けられる可能性があります。


研究内容

衛星多偏波SARデータとして、豊洲周辺のALOS2/PALSAR2データを選定し、パウリ分解を適用しました。また、日本橋川や神田川,潮見周辺を対象とし、船舶にCLAS受信機を搭載してGNSS測位データを取得しました。これらの実験をとおして、多偏波SARデータとGNSS測位環境を対応付ける可能性が高いことが確認できたとともに、多偏波SARによってGNSS測位環境を面的に推定できる可能性があることがわかりました。多偏波SARGNSS測位環境を対応づけることで、都市河川空間における地図データへの属性付与や、災害時の面的変化も観測できると考えられます。


今後の展望

本研究の成果は、デジタルツイン基盤の実現のみならず、社会インフラの高度化?維持管理に活用できる可能性があります。国内の社会インフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、高齢化?老朽化している土木構造物の割合が急増していることが社会的課題です。また、災害が多いことも国内の特徴であり、緊急災害観測技術の重要性は増しています。
本研究に加えて、衛星観測や航空?UAV測量、地上レーザースキャニング、ウェアラブルデバイス利用などの連携による、多様な測量技術を組み合わせた手法を提案することで、上記の社会的課題を解決することに貢献します.