石塚健太さんがAsian Conference on Remote Sensing 2024にてStudent Awardを受賞
2024/12/12
- 工学部
- 社会基盤学専攻
- 土木工学科
受賞者
石塚 健太 さん(土木工学科4年生)
中川 雅史 教授(工学部)
三代 雅博 さん(渡辺エンジニアリング株式会社)
指導教員
中川 雅史 教授(工学部)
学会?大会名
Asian Conference on Remote Sensing 2024
賞名
Student Award
発表題目
Safety Visualization in Cooperative Operation with Workers and Construction Vehicles using Temporal LiDAR Data

現在の建設分野では、効率化や安全性向上のためにICT建機の導入が推進されています。しかしながら、ICT建機の価格は従来型建機の2.5倍程度である点や、狭隘な都市空間における無人施工が容易でないことなどの課題もあるため、従来型建機に外付け型装置を搭載する方法論や、建機と作業者の協調作業支援方法を検討しています。既往研究において、水平方向をスキャニングするよう建機搭載した3D-LiDAR(水平LiDAR)を用いて、作業者の位置把握による施工現場の安全性の可視化を試みています。しかしながら、3D-LiDARの鉛直方向の視野角が小さいために、建機の挙動把握や作業者の位置把握が容易ではない課題がありました。そのため、鉛直方向をスキャニングするよう建機搭載した3D-LiDAR(鉛直LiDAR)との組み合わせで視野角の改善を図っています。本研究では水平LiDARと鉛直LiDARを組み合わせた物体認識および物体追跡で得た結果を利用した施工現場の危険度評価方法を提案しました。また、建機による掘削作業を計測できるよう、建機の斜め下方向をスキャニングするよう建機搭載した3D-LiDAR(斜めLiDAR)の追加効果も検証しました。
提案手法は、各LiDARで取得した点群の統合、バックホウのバケットおよび作業者の物体認識、作業者の追跡処理、および、危険度推定処理によって構成されます。バックホウと作業者の協調作業による掘削や埋め戻し、建機旋回などの作業を再現した模擬施工空間における実験では、バックホウの操縦席前方に水平LiDAR、鉛直LiDAR、斜めLiDARを搭載し、約60000シーン(約100分)の時系列点群(53億点)を取得しました。まず、3つのLiDARで得た点群の統合処理によって、視野角を十分に拡大できることを確認しました。危険度評価方法に関しては、作業者が同じ挙動を一定時間続けるという条件のもとでの短期予測処理となりますが、建機と作業者の協調作業における危険度を推定できることを確認しました。作業者の危険度予測への深層学習の適用や、大規模点群を利用する物体認識?追跡処理の高速化が今後の課題に挙げられます。
本研究の成果は、デジタルツイン基盤の実現のみならず、社会インフラの高度化?維持管理に活用できる可能性があります。国内の社会インフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、高齢化?老朽化している土木構造物の割合が急増していることが社会的課題です。また、災害が多いことも国内の特徴であり、緊急災害観測技術の重要性は増しています。本研究に加えて、衛星観測や航空?UAV測量、地上レーザースキャニング、ウェアラブルデバイス利用などの連携による、多様な測量技術を組み合わせた手法を提案することで、上記の社会的課題を解決することに貢献します。