校歌
作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰 による校歌
当初、本学の前身校、東京高等工学校の校歌として制定されたものが、新制大学移行後に「芝浦工業大学校歌」となりました。作詞が北原白秋(きたはら はくしゅう、1885-1942)。生涯に数多くの詩歌を残し、今なお愛唱される童謡の生みの親、日本を代表する詩人です。作曲は山田耕筰(やまだ こうさく、1886-1965)。日本の交響楽とオペラを確立し、不朽の名曲をあまた作った日本音楽史上の巨匠です。 有名な童謡「この道」は二人の合作ですが、手がけたのは童謡だけでなく、校歌、自治体歌まで幅広くあります。本学の校歌は今も歌い継がれている貴重な作品の一つです。この校歌が完成したのは1941年、北原白秋が5年にわたる闘病生活の末に亡くなった前年のことです。校歌の原詩は、病との闘いの中、視力の低下に抗いながら白秋自らが書き上げたもの。彼の最後の心が宿る貴重な歴史資料ともなっています。
歌詞?楽譜
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東京高等工学校校歌
歌詞の変遷
前述のとおり、芝浦工業大学の校歌は作詞:北原白秋/作曲:山田耕筰によるものですが、その歌詞は、時代により徐々に変化しています。例えば校歌3番の冒頭は現在「永遠(とわ)に栄えゆく」ですが、原文では「東亜に栄えゆく」となっています。校歌が完成した1941(昭和16)年のことを考えると、当時の時代背景が影を落としていたと思われます。その後「とうあ」の音感に通じ、また意味も通る「とわ」が校歌の歌詞に採択され、今に続いていると推測されます。また原文で「東京、東京、高等工学」と歌われている結びの部分は、本学の校名の変化に合わせてその時代時代で歌われ、現在では「芝浦、芝浦、我らが母校」となっています。
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北原白秋自筆の歌詞原稿
北原白秋 直筆の歌詞
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北原白秋自筆の歌詞原稿
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東京高等工学校 北原白秋
1.
朝日に輝く 風と潮
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雄大空あり 雲は移る
仰げよ校旗の 翩翻たるを
白亜の殿堂 ここに聳え
われらが工学 英気鍾む
東京 東京 高等工学
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2. 世紀に脈うつ 熱と理性
剛健矩あり 常に鍛ふ
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行へほがらに 溌剌たれや
師弟の純情 一に依りて
磨くにこの技 神に通ず
東京 東京 高等工学
3.
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東亜に栄ゆく 意志と秩序
誠実ただあり 道は徹る
夢むな空理の 漠々たるを
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精微をきはめて 事に即かば
工学日本 大を成さん
東京 東京 高等工学
昭和十六年十月二十日作